肝炎ウイルス

肝炎ウイルス

肝炎ウイルスには5種類 (A, B, C, D,及びE型)あります。大きく分けると、エンベロープをもたないA型肝炎ウイルス (HAV)、E型肝炎ウイルス (HEV)と、エンベロープをもつB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス (HCV)および、D型肝炎ウイルス (HDV)の2つのグループになります。このなかで、HDVはHBVが存在しないと増殖ができない点で少し特殊な肝炎ウイルスです。

肝炎ウイルス

肝炎ウイルスの感染経路

エンベロープは宿主の脂質二重膜に由来します。脂質は界面活性剤や酸等に弱いため、エンベロープを持つ肝炎ウイルス (HBV, HCV, HDV)はエンベロープを持たない肝炎ウイルス (HAV, HEV)に比べて壊れやすいことが知られています。HAVとHEVは胃を通過しても壊れないので経口感染しますが、HBV、HCV、およびHDVは血液感染となります。

肝炎ウイルスの感染経路

 慢性肝炎になる肝炎ウイルス

肝炎ウイルスの中で慢性肝炎(6ヶ月以上肝炎が持続する)を引き起こすのは、HBV、HCV、およびHDVです。HBVやHCVによる慢性肝炎は致死的な肝硬変、肝癌へと進行します。このため。肝硬変や肝癌に進行する前にウイルスを排除することが非常に重要な予防策となります。
HCVとHBVの感染者は世界で約5.5億人(世界人口の8%)と推定されています。HCVとHBVは人を死に至らしめる最大の感染症の1つです。

慢性肝炎になる肝炎ウイルス

 肝炎ウイルスの分離

ウイルスを分離するには、ウイルスに感染した宿主の血液、糞便等を培養細胞に接種し、ウイルスを増殖させる方法があります。しかしながら、肝炎ウイルスでは この方法でウイルスを培養細胞で増殖させることはできませんでした。肝炎ウイルスの研究では人工的に合成したウイルスの遺伝子を細胞に導入して増殖させる リバースジェネティクス法が中心となります。
リバースジェネティクス法の特徴としては、
1.人工的に遺伝子変異を導入できるため、遺伝子変異による影響(薬剤耐性、増殖、病原性等)を研究できる。
2.ウイルスゲノムに外来性遺伝子(GFP、ルシフェラーゼ等)を導入できる。
ことが挙げられます。

肝炎ウイルスの分離
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